アバブ・ランド:ラプソディは、デベロッパーのFlying AmateursがUnreal Engine 5(UE5)を駆使して開発中の、独創性に満ちた3Dローグライトアクションゲームだ。2026年04月に実施されたメディア向けイベントにて、約1時間40分に及ぶ試遊の機会を得たが、そこで目にしたのは美麗なグラフィックで描かれる「重厚なファンタジー世界」と、あえて真顔で投入される「シュールなユーモア」が織りなす、極めて稀有なプレイ体験であった。
| 項目 | 詳細情報 |
|---|---|
| タイトル | アバブ・ランド:ラプソディ |
| デベロッパー | Flying Amateurs |
| プラットフォーム | PC(Steam) |
| ジャンル | 3Dローグライトアクション |
| マルチプレイ | 最大3人対応 |
漫画の章を巡る独特な世界観と「鯤(こん)」の伝説
本作の舞台は、巨大な伝説の魚「鯤」が浮島を支える雲の上の世界である。中国語タイトルが『鯤歌』であることからも、その文化的背景の深さが伺えるが、最も興味深いのはその世界へのアクセス方法だ。主人公は飛行船内に置かれた「漫画の単行本」を読み、その各章を選択することで対応するマップへと移動する。このメタフィクショナルな構造は、ただのステージ選択を物語の一部へと昇華させている。
試遊で体験したマップ「鯤骸之墟(こんがいえきょ)」は、鯤の骨が朽ち果てた廃墟であり、UE5による繊細なライティングが寒々しくも美しいコントラストを描き出していた。開発陣によれば、マップごとにゲームルールが異なるとのことだが、今回のビルドでは30分という時間制限の中で襲い来る敵を退ける、戦略的なタワーディフェンス形式のゲームプレイを体験することができた。
アバブ・ランド:ラプソディが提示する、パイプ椅子が唸る異色の戦闘システム
アバブ・ランド:ラプソディの核心的な魅力は、その奇想天外な武器ラインナップにある。ファンタジー作品としては標準的な剣も存在するが、特筆すべきは「折りたたみ椅子(パイプ椅子)」や「ギター」、「バスケットボール」といった現代的なオブジェクトが強力な武器として機能する点だ。特にパイプ椅子を使用した際のスキル発動で、戦場に突如プロレスリングが現れ、ドロップキックを叩き込む演出には、開発者の確信犯的な遊び心が凝縮されている。
しかし、本作を単なる「バカゲー」で片付けることはできない。アクションの手触りは極めて真摯に磨き上げられており、攻撃のレスポンスや回避の挙動、広範囲を薙ぎ払う爽快感は一級品だ。敵のAIも狡猾で、盾持ちのモンスターが火を吐きながら接近し、遠距離の敵が的確に射線を確保してくるため、プレイヤーは常に戦術的な判断を迫られることになる。
ローグライトとしての深みとマルチプレイの可能性
試遊ではウェーブ間にランダムな強化要素を選択するローグライト要素も確認できた。ビルドのバリエーションは豊富で、自分のプレイスタイルに合わせてキャラクターをカスタマイズする楽しみが担保されている。また、特定のゲージを消費して巨大化し、無敵状態で敵を一掃する変身システムは、戦況を打破する強力なカタルシスを提供してくれる。
マルチプレイにおいては、「勇気値(Valor)」というリソースを消費して仲間を蘇生させるシステムが導入されている。これにより、熟練者が初心者をサポートする協力プレイの意義が明確化されており、最大3人での共闘がどのような化学反応を起こすのか非常に期待が高まる内容となっていた。爽快なアクションと、真顔で繰り出されるシュールなユーモアが同居する本作は、ジャンルの既成概念を打ち破るポテンシャルを秘めている。
Game’s Compass Perspective: アバブ・ランド:ラプソディが示す「真面目な悪ふざけ」の価値
UE5による次世代のビジュアルを、パイプ椅子で殴り倒すための贅沢な背景として使う贅沢さ。本作は、アクションの基本性能を極限まで高めた上で、あえて「異物」を混入させることで唯一無二の個性を確立している。単なる奇策ではなく、手応えのあるゲームプレイが土台にあるからこそ、そのユーモアは光り輝くのだ。
本作の詳細は Steam公式ページ で確認可能だ。Game’s Compassで関連記事をもっと見る
最終コンパス指数: 8.8 / 10