ストレンジャー・ザン・ヘブンは、長年「龍が如く」シリーズを手掛けてきた龍が如くスタジオが、その歴史に新たな楔を打ち込むべく開発を進めている前日譚的な最新作だ。本作が提示する世界観は、1915年から1965年という激動の日本を50年にわたって描くという極めて野心的なものであり、その時間の流れと共に変化する街並みや文化の再現に期待が高まっている。しかし、今回最も注目すべきは、これまでのシリーズが築き上げてきたアクションの定石をあえて破壊し、より泥臭く、そして手に汗握る死闘へと昇華させた全く新しい戦闘システムの実装にある。
▲ 公式カバーアート (提供: IGDB)
| 開発元 | 龍が如くスタジオ |
| 対応プラットフォーム | PlayStation 5, Xbox Series X/S, PC |
| 発売予定日 | 2027年1月 |
| ジャンル | アクションアドベンチャー |
| 主人公 | マコト・ダイトウ |
ストレンジャー・ザン・ヘブンが提示する左右独立型アクションの新機軸
本作の戦闘において最も革新的なのは、コントローラーのL1・L2およびR1・R2ボタンをそれぞれ主人公マコト・ダイトウの左拳と右拳に見立てて操作する「パペッティア・スタイル」の導入だ。従来のシリーズで見られた、特定のボタンを連打して華麗なコンボを繰り出すスタイルとは一線を画し、一撃一撃の重みと方向、そしてタイミングをプレイヤーが完全に制御する必要がある。敵のガードを崩すために左のジャブを繰り出し、空いた隙間に右のストレートを叩き込むといった、ボクシングや実戦の喧嘩に近い緊張感がそこには存在する。
このシステムがもたらすのは、単なる操作の複雑化ではない。敵との間合いや、どの角度から攻撃が飛んでくるかを瞬時に見極める「観察眼」が求められる、極めて戦略的な格闘体験だ。ジャストガードやパリィの重要性は飛躍的に高まっており、これまでの「ヒートアクションで一気に片付ける」爽快感とは異なる、一対一の対峙を制した際の本質的な達成感が追求されている。まさに、龍が如くスタジオが現代のアクションゲームに対する一つの回答として提示した、硬派な進化と言えるだろう。攻撃を空振りした際の大きな隙や、スタミナ配分の重要性など、プレイヤーには常に冷静な判断が求められる。
▲ 公式アートワーク (提供: IGDB)
時代背景とリンクするリアリズムの追求
バトルの手触りは、かつてのアクションゲームで見られたような過度な演出を抑え、物理演算に基づいたリアリティを重視している。例えば、マコトが右手にバールを持っている最中、敵にその先端を掴まれた場合でも、空いている左手で追撃を仕掛けるといった臨機応変な挙動が可能だ。この武器との「綱引き」状態ですらアクションの延長線上にあり、周囲の環境や敵の状態をリアルタイムで戦術に組み込む楽しみがある。かつての『007 First Light』のような重厚な近接戦闘を彷彿とさせつつも、よりプレイヤーの意志がダイレクトにキャラクターの挙動に反映される感覚は、本作独自の強みと言える。
一方で、現時点での課題も散見される。ターゲットを固定するソフトロックオンの精度が不安定で、多人数を相手にする際に意図しない方向へ攻撃を繰り出してしまう場面や、重量級武器を使用した際の硬直がやや長すぎる印象も受ける。しかし、2027年1月の発売までにはまだ調整の余地があり、スタジオの熟練した技術力をもってすれば、これらの粗削りな部分は洗練されていくはずだ。また、1915年から1965年という設定を活かし、50年の歳月を経てミニゲームやアクティビティがどう変遷していくのかも興味深い。当時のパチンコ店や、セガが先駆者となった初期の電磁式遊戯機の登場など、歴史の重みを感じさせるギミックにも期待が集まる。
ストレンジャー・ザン・ヘブンが示すシリーズの原点回帰と再定義
本作は単なるスピンオフではなく、龍が如くシリーズが抱えていた「戦闘のマンネリ化」に対する強烈なアンサーだ。左右の腕を使い分ける操作体系は、アクションゲームとしての敷居を一時的に上げるかもしれないが、それは「暴力の痛み」と「勝利の重み」を再定義するために必要なコストと言える。1965年の新宿を舞台にした音楽サンプリング機能など、時代に即した新機軸の探索要素も、従来のテンプレを破壊しようとするスタジオの強い意志を感じさせる。2027年の幕開けを飾るに相応しい、真のハードコア・アクションが誕生しようとしている。
最終コンパス指数: 8.8 / 10