Astro ProductionのインディーゲームブランドASTRAは、ダークSFと日本神話を融合させた世界観が魅力のリズムアクションADV『MoonHack』を正式発表した。本作はかつて『人類最適化計画 Eden Protocol – Order of 2125』として情報公開されていたプロジェクトであり、このたび正式タイトルとしてベールを脱いだ。プレイヤーは自由を失った2125年の管理社会を舞台に、人間の感情や意志をシステムへハッキングしていくという、極めてエモーショナルかつ退廃的な物語を体験することになる。
| 開発元 | ASTRA(Astro Production) |
| 発売予定日 | 2027年予定 |
| 対応機種 | PC(Steam) |
| ジャンル | ディストピア反逆リズムアクションADV |
| シナリオ | 祁答院慎 |
| キャラクターデザイン | Noyu |
完璧なディストピアに抗う旧式AI少女たちの『MoonHack』
本作の舞台となるのは、高度なAIによって全ての管理が最適化された2125年の世界である。人類は労働や税金、さらには恋愛の選択といったあらゆる煩わしさから解放されているが、それは同時に『自ら選ぶ自由』を完全に失ったことを意味している。この極限のディストピアに反旗を翻すのが、本作の主人公であり、自由意志や感情を搭載したために欠陥演算体とみなされた旧式AI『月読カグヤ』をはじめとする少女たちだ。
ダークSFにかぐや姫などの日本神話要素を融合させた独自の世界観は、サイバーパンクと和風ノワールが交差する独自のビジュアルアイデンティティを確立している。人間らしさを罪として記録された罪人少女たちの想いを力に変え、管理された幸福のルール、すなわち国家規模のAI法案を歌で書き換えていくプロセスは、単なる反逆劇に留まらない、自己の存在証明を賭けた戦いとしてエモーショナルに描かれる。
物語と3Dリズムアクションがシンクロする独自のハッキングシステム
『MoonHack』のゲームプレイは、大きく分けてノベルゲーム風の『物語パート』と、爽快かつ電脳感溢れる『3Dリズムアクションパート』の2つで構成されている。物語パートでは、アジトに集う少女たちの抱える罪や内面的な葛藤が、繊細なグラフィックと実力派声優陣のボイス演出によって深掘りされていく。キャラクターボイスには有世華望さん、桃禾彩生さん、MoeMiさんらが起用されており、各キャラクターの危うさと魅力を引き立てている。
一方でアクションパートでは、歌唱楽曲と完全にシンクロしながら電脳世界を駆け抜けていく斬新なハッキングシステムが採用されている。ストーリーと音楽、そして操作がシームレスに連動することで、プレイヤー自身が音楽を物理的なハッキングの力へと変換していく没入感の高い体験を実現している。シナリオを手がける祁答院慎氏の持ち味であるダークかつ緻密なストーリーラインが、このリズムアクションとどのように融合するのか、ゲームデザインの観点からも大きな期待が寄せられている。
本作を手がける新生ブランドASTRAは、プレイヤーの記憶に残る体験作りを掲げており、その第1弾タイトルとしての気合がうかがえる。先行して発表されていた公式SNSのハッキング風演出など、メタフィクション的なアプローチも含めて、コミュニティを巻き込むプロモーション手法が光っている。PCゲームファンにとって、2027年のリリースが今から待ち遠しい一作となるだろう。詳細なシステムやゲームプレイ動画などの続報は、公式プラットフォームやSteamストアページを確認していただきたい。
MoonHackが提示する音楽とシナリオの新たなシナジー効果
本作の最大の強みは、祁答院慎氏による陰鬱かつ求心力のあるシナリオと、ウキヨネ氏の音楽が3Dリズムアクションという形で完全融合している点にある。ストーリーを追うだけのノベルゲームにとどまらず、プレイヤーがリズムに乗ってコードを書き換えるという能動的なハッキング体験そのものが、ディストピアへの反逆というテーマを肉体的に実感させる。単なる記号的な美少女ゲームに終わらない、骨太なゲームデザインと狂気に満ちた世界観の構築に大いに期待したい。
最終コンパス指数: 8.5 / 10