KEMURIは、かつて「大神」や「ベヨネッタ」、「Ghostwire: Tokyo」のクリエイティブに深く携わった中村育美氏が、独立後に設立したスタジオUNSEENで開発を進める極めて野心的なアクションゲームである。2026年6月2日に開催されたSonyのState of Playにおいて、長らく沈黙を保っていた本作のファーストゲームプレイ映像がついに公開された。都市の喧騒と古来の怪異が交錯する独特の世界観は、既存のアクションゲームの枠組みを大きく揺るがすポテンシャルを秘めている。
▲ 公式カバーアート (提供: IGDB)
| 開発元 | UNSEEN |
|---|---|
| 発売予定日 | 2027年 |
| 対応プラットフォーム | PlayStation 5 (PC版未定) |
| ジャンル | 都市型妖怪狩りco-opアクション |
| プレイ人数 | 1~3人 |
KEMURIが提示する「妖怪をファッションとして纏う」革新的システム
公開された映像で最も目を引くのは、本作の中核を成す妖怪狩りのプロセスである。舞台となる「KEMURI City」は、生者の世界と妖怪の領域が渾然一体となったカオスなアジア的都市だ。プレイヤーは妖怪ハンターとして、特殊能力である「狐の窓(Fox Window)」を駆使して超常現象を検知し、潜伏する妖怪を暴き出す。このプロセスは、単なる索敵以上に、都市の裏側に隠された真実を覗き見るというナラティブな体験と密接に結びついている。
さらに独創的なのが、狩った妖怪との「契約」だ。中村氏の説明によれば、プレイヤーは妖怪を討伐するだけでなく、彼らと契約を結ぶことでその能力を自身の「アパレル(衣装)」として身に纏うことができる。倒した敵の皮を剥いで装備を作るという従来のモンスターハンター的アプローチを、より現代的な「ストリートファッション」の文脈で再解釈したこのシステムは、キャラクターのカスタマイズ性と戦闘スキルの拡張をシームレスに統合している。妖怪の力を宿したウェアは、戦闘だけでなく都市内の高速移動(トラバーサル)にも大きな影響を与えることになるだろう。
三位一体の協力プレイと、現代文化への鋭い呼応
本作は最大3人での協力プレイを想定しており、今回「Katana Hunter(刀ハンター)」「Bow Hunter(弓ハンター)」「Shaman(シャーマン)」という3つのクラスが存在することが明かされた。これらはクラシックなアーキタイプに基づきつつも、KEMURI特有のスタイリッシュなアニメーションと高速アクションによって、これまでにない手触りのco-op体験を提供することを目指している。映像内の滑らかなモーションからは、UNSEENの技術力の高さと、アクションの「心地よさ」に対する並々ならぬ拘りが伝わってくる。
▲ 公式アートワーク (提供: IGDB)
「呪術廻戦」以降の時代における妖怪アクションの勝機
構造的な興味深さとして、本作が「ダークソウル」シリーズのような緩やかなオンライン要素を取り入れている点が挙げられる。PlayStation Blogの記述によれば、シングルプレイ時であっても街の至る所で「他人の気配」を感じることがあり、超常現象の深淵へと足を踏み入れる過程で、他のハンターの存在が物語や攻略に影響を及ぼす仕組みが示唆されている。これは、孤立無援の恐怖と共闘の連帯感を同時に味わわせる、高度なマルチプレイヤー設計と言えるだろう。
また、本作が「呪術廻戦」などのダークファンタジーや、異能を持つ者が都市で戦うという文脈が世界的に一般化した今の時代にリリースされる点も重要だ。開発開始から5年以上の歳月を経て、大衆文化のトレンドがKEMURIの描くビジョンに追いついた形となっており、本作が世界的なヒットを記録するための土壌は完璧に整っていると言える。独立系スタジオとしての自由な発想が、大手パブリッシャーの作品にはない「混沌と笑い」をどのように生み出すのか、期待は高まるばかりだ。
詳細な情報は、公式サイトおよびPlayStation Blogでも確認できる。また、6月7日に開催予定のPC Gaming Showでの続報にも注目したい。
KEMURIが変えるアクションゲームの「装い」と報酬系
本作の最大の見どころは、妖怪を「ファッション」として消費する大胆なデザインセンスにある。これは単なる見た目の変更に留まらず、現代のゲーマーが持つ「自己表現への欲求」をハック&スラッシュの報酬系に組み込んだUXの勝利だ。中村育美氏の持つ独特の作家性が、UNSEENという自由な環境で爆発した結果、2027年のアクションゲーム市場において、本作は最も「クール」で「予測不能」な一撃となるだろう。
最終コンパス指数: 9.2 / 10