グリードフォール を生み出したフランスの名門スタジオSpidersが、2026年4月29日、親会社Naconの経営戦略の犠牲となり事実上の閉鎖に追い込まれた。この事態を受け、フランスの労働組合STJVは、Naconによる一連の振る舞いを「第一級殺人」という極めて強い言葉で非難する声明を発表。ゲーマーに対し、Naconタイトルの不買運動を呼びかけるという、前代未聞の事態へと発展している。
▲ 公式カバーアート (提供: IGDB)
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 対象デベロッパー | Spiders |
| 親会社(パブリッシャー) | Nacon |
| 主要タイトル | グリードフォール シリーズ |
| 騒動の争点 | 不当な資金収奪、開発中止、スタジオ清算 |
「グリードフォール」を生んだ才能を枯渇させた、計画的なスタジオ清算
Spidersは2008年の設立以来、独自の重厚な世界観を持つRPGを世に送り出してきた。特に2019年に発売された「グリードフォール」は、17世紀の植民地時代を彷彿とさせる独特の設定と、プレイヤーの選択が物語を大きく左右する深みのあるゲームプレイで、世界中のハードコアゲーマーを魅了した。しかし、2019年にNacon(旧Bigben Interactive)傘下に入って以降、そのクリエイティビティは資本の論理によって徐々に侵食されていたのだという。
STJVの告発によれば、Spidersは「グリードフォール」の成功以降、自らが手がけた作品から正当なロイヤリティを一切受け取れていなかったとされる。収益は親会社であるNaconに吸い上げられ、スタジオには次作の開発資金すら自由に運用できない状況が続いていた。2026年に入り、Naconが資金難を理由に「司法再建手続き」を要請したことは、スタジオを救うためではなく、不要な手足を切り捨てるための計画的な手順であった可能性が浮上している。
労働組合が突きつける「第一級殺人」の重みと、崩壊した開発環境
▲ 公式アートワーク (提供: IGDB)
最も衝撃的なのは、2025年に突如中止されたコードネーム「Dark」と呼ばれるプロジェクトの存在だ。Spidersにとって「グリードフォール」に続く柱となるはずだったこのプロジェクトは、Naconによって一方的に断たれた。そればかりか、NaconはSpidersが他社からの投資を受ける道さえも封鎖していたという。STJVが今回の清算を「計画的かつ意図的で、正当な理由がない」として「第一級殺人」に例えたのは、スタジオが自力で生き残る術をすべて奪った上での死刑宣告だったからに他ならない。
2026年にリリースされた最新作 グリードフォール:ザ・ダイイング・ワールド の裏側で、開発者たちはこれほどまでに過酷な経営的抑圧に晒されていた事実は、純粋にゲームを楽しんできたファンにとってあまりに悲劇的だ。プレイヤーが支払った代金が、次なる素晴らしいゲーム体験を生むために使われず、スタジオを絞め殺すための資金に転用されていたのだとしたら、それはゲーマーに対する裏切りでもある。
Nacon不買運動という選択肢。我々の消費は誰を救うのか
STJVが呼びかけた不買運動は、単なる感情的な反発ではない。「Naconに金銭を与えないでほしい」という訴えは、クリエイターの権利を無視し、ブランドを食いつぶすだけのパブリッシャーに対する、市場を通じた唯一の抵抗手段である。我々が今後Naconのロゴが入ったタイトルを購入する際、その1円がクリエイターの情熱を支援するのか、あるいは新たな「スタジオ殺し」の軍資金になるのかを、真剣に考えなければならない局面に来ている。
Game’s Compass Perspective: グリードフォール の魂は、パブリッシャーの冷徹なエクセルシートによって葬られた
この事件は一企業の倒産劇ではない。優れたIPを生み出したスタジオの収益を吸い尽くし、再建の糧として使い捨てにするという、現代ゲーム産業が抱える構造的な暴力だ。Spidersの閉鎖は、私たちが愛する「作家性のあるRPG」の未来が、いかに脆い土台の上に立っているかを痛烈に示している。
今後の焦点は、Naconがこのボイコットに対してどのような声明を出すか、そして「グリードフォール」というIPの権利が今後どのように扱われるかに移るだろう。しかし、一度失われた才能の結集は二度と戻らない。私たちがプレイしてきたあの広大な島での冒険は、今や資本の闇に飲み込まれようとしている。
最終コンパス指数: 1.5 / 10