『ブリガンダイン アビス』は、1998年の初代『幻想大陸戦記』から続く伝統的なファンタジー・ウォーシミュレーションの流れを汲む、シリーズ最新作である。本作の最大の魅力は、人間である『騎士』と、彼らが指揮する多種多様な『モンスター』を組み合わせ、HEX(六角形)で区切られた戦場を支配していくタクティカルな構造にある。2026年8月27日の発売を控え、メディア向けに行われた先行プレイでは、物語の奥深さと、戦略ゲームとしての手応えが非常に高い次元で融合していることを確認できた。
▲ 公式カバーアート (提供: IGDB)
| プラットフォーム | PS5, Nintendo Switch 2, Xbox Series X|S, PC(Steam) |
| 発売予定日 | 2026年8月27日 |
| ジャンル | ファンタジー戦乱SLG |
| 開発・発売 | ハピネット |
導線としての秀逸さが光る『ブリガンダイン アビス』のストーリーモード
ストーリーモードでは全6勢力からの選択が可能だが、今回の試遊では禁忌の研究に手を染める勢力『パンデュミオン』に焦点を当てた。物語の導入は、ソルジュナート王国の簒奪と新生アビスローア帝国の建国という、シリーズファンならずとも引き込まれる劇的な展開から始まる。一見するとヴィラン寄りの勢力に見えるパンデュミオンだが、主人公であるキマイラ『TYPE-F』が聖女メユハと出会い、非人道的な技術に抗うレジスタンスとして立ち上がる物語は、王道かつ熱い展開を見せる。
本作の進行において特筆すべきは、『節』という単位を用いた時間概念の導入だ。特定の節に達するとイベントバトルが発生するという形式は、『ファイアーエムブレム 風花雪月』のような期限付きの育成・進軍サイクルを想起させる。これにより、プレイヤーは『次の決戦までにどのユニットを強化すべきか』という明確なマイルストーンを意識しやすくなっている。国盗りシミュレーションにありがちな『次に何をすべきか分からない』という迷いを、この構造が見事に解消しており、初心者の導入としても非常に機能的である。
戦術のキモとなるユニット特性とZOCの活用
戦闘においては、ユニットの個性を理解することが攻略の絶対条件となる。試遊で体験したミッションモードの勢力『アルキス天空商隊』は、火力や回復手段が乏しい初期構成となっており、真正面からのぶつかり合いでは苦戦を強いられた。しかし、壁役となるゴーレムを前線に配置し、後方のケンタウロスで遠距離から各個撃破を狙うという、基本に忠実な戦術へ切り替えた途端、戦況は劇的に改善した。部隊の配置一つで勝敗が分かれる絶妙なゲームバランスが、本作の戦略的価値を証明している。
▲ 公式アートワーク (提供: IGDB)
また、本作の戦術性をさらに深めているのが、隣接する敵ユニットの通行を妨害する『ZOC(Zone of Control)』の仕組みだ。包囲による移動制限や戦闘結果への補正をいかに作り出し、逆にいかに回避するかという駆け引きは、まさに孫子の兵法にある『人を致して、人に致されず』を体現する体験である。主導権を握り、自分の有利な戦場を作り上げる達成感は、ウォーシミュレーションの醍醐味そのものと言えるだろう。100を超えるユニットの組み合わせにより、プレイヤーごとに異なる攻略パターンが生まれる余地も十分に確保されている。
ブリガンダイン アビスがウォーシミュレーションの門戸を広げる理由
本作は、国盗りゲーム特有の自由度を維持しつつ、イベントバトルまでの『期限』を設けることで、プレイヤーに最適な緊張感と指針を与えている。これは、膨大な選択肢に圧倒されがちなジャンルの弱点を克服する賢明な設計だ。一方で、ユニットの相性やZOCといった戦術的要素は極めてシビアであり、熟練のゲーマーをも唸らせる懐の深さを持っている。ファンタジーとしての重厚な物語と、妥協のないタクティカル要素の両立は、同ジャンルの新たなベンチマークとなる可能性を秘めている。
『ブリガンダイン アビス』は、ウォーシミュレーションというジャンルのハードルを、丁寧な導線設計と魅力的な世界観によって一段下げつつ、その奥底にある知的な喜びを損なっていない。 Steamでは既に体験版も配信されており、8月27日の発売に向けて、多くのプレイヤーがこの深淵なる戦場に身を投じることになるだろう。
最終コンパス指数: 8.8 / 10