1666: Amsterdam (1666 アムステルダム) は、かつて「アサシン クリード」の初代クリエイティブ・ディレクターを務めたパトリス・デジーレ氏が、10年以上の歳月を経てようやく世に送り出す執念の野心作である。長らく「失われたプロジェクト」と目されていた本作だが、ついに2026年内の早期アクセス配信が決定した。現在、SteamおよびEpic Games Storeにおいて、本作の導入部分を体験できる30分程度のプロローグ版が無料公開されており、プレイヤーはデジーレ氏が描き出す新たな歴史の深淵に触れることができる。
▲ 公式カバーアート (提供: IGDB)
| タイトル | 1666: Amsterdam (1666 アムステルダム) |
| 開発元 | Panache Digital Games |
| パブリッシャー | Epic Games Publishing |
| リリース予定日 | 2026年内(早期アクセス開始) |
| 対応プラットフォーム | PC(Steam / Epic Games Store) |
| ジャンル | ダーク・サードパーソン・アクションアドベンチャー |
1666: Amsterdam (1666 アムステルダム) が辿った数奇な運命と開発の背景
本作の開発史は、ビデオゲーム業界における権利闘争と開発者の情熱が交錯するドラマそのものである。デジーレ氏は2011年にTHQ Montrealにて本プロジェクトを立ち上げたが、2013年のTHQ倒産により、スタジオとプロジェクトはUbisoftへと買い取られた。しかし、デジーレ氏とUbisoftの間で雇用条件を巡る対立が生じ、彼は解雇、プロジェクトは無期限の凍結状態に置かれることとなった。その後、デジーレ氏は自身のスタジオPanache Digital Gamesを設立し、2016年にようやく本作のクリエイティブ・ライツ(開発権)をUbisoftから奪還することに成功したのである。
権利奪還から8年、Panache Digital Gamesは約70名の精鋭スタッフと共に、この「幻のゲーム」を現実の形へと昇華させてきた。デジーレ氏は「開発には長い時間がかかったが、我々のチームをこれ以上なく誇りに思う」と語り、過去6年間はデモ用のフェイク映像やバーティカル・スライス(一部のみ完成させた見本)を作ることなく、日々のビルド更新を通じて純粋にプレイ可能な体験を構築することに専念してきたと強調している。本作は、まさに開発者の執念が生んだ結晶と言えるだろう。
▲ 公式アートワーク (提供: IGDB)
暗黒の17世紀を生き抜く「コレクター」の物語と独自システム
1666: Amsterdam (1666 アムステルダム) の舞台となるのは、超自然的な力と歴史が交差する1666年のアムステルダムである。プレイヤーは主人公「ノア・ブルックリン」となり、街に潜む「オリジナル」と呼ばれる異能の存在たちに対峙する「コレクター」としての役割を担う。オリジナルたちは数世紀にわたって人々の間に紛れ込み、与えられた時間と権力を乱用して街を支配してきた存在だ。物語は17世紀の過去だけでなく、1999年、そして現代という複数の時間軸が複雑に絡み合う構造を持っており、プレイヤーは時空を超えた謎に挑むことになる。
特に興味深いのは、キャラクター間の特異な能力と連携である。1999年のパートに登場するアーロンという人物は「猫の目を通して世界を見る」ことができ、この視点がゲームプレイにどのような戦略的深みをもたらすのかが注目される。また、主人公ノアを支援する「ザインダリス」と呼ばれる集団の存在や、プレイヤーが選択する「コンパニオン」のシステムなど、単なるアクションゲームに留まらない、重層的なナラティブ体験が期待されている。
「アサシン クリード」の系譜を超えた新たなアクション体験
デジーレ氏が過去に手掛けた「アンセスターズ:人類の旅」が、実験的で難解なサバイバル・シミュレーターであったのに対し、本作 1666: Amsterdam (1666 アムステルダム) は、よりストーリー主導のサードパーソン・アクションアドベンチャーへと回帰している。公開された映像では、赤いエネルギーを帯びたスタッフを操るフード姿の人物が確認でき、ステルスと超常的な戦闘が融合したゲームプレイが示唆されている。これはデジーレ氏の原点である「アサシン クリード」のDNAを感じさせつつも、よりダークで幻想的なファンタジー要素を色濃く反映させたものだ。
現在配信中のプロローグ版は、デジーレ氏曰く「フルコースのディナーの前の先付(アミューズ・ブーシュ)」に過ぎないという。プレイヤーはノアがコレクターとしての使命を受け入れる「開始の儀式」を体験し、何世紀にもわたって隠されてきた世界の基盤を垣間見ることになる。10年前には不可能だった技術的表現と、長い沈黙期間に磨き上げられたコンセプトが、どのような化学反応を起こしているのか。早期アクセス開始に向け、ゲーマーたちの期待は最高潮に達している。
1666: Amsterdam (1666 アムステルダム) が示す「歴史改変」の新たな地平
本作の真の魅力は、アサシン クリードで培われた「歴史への敬意」と、それを破壊する「超自然的混沌」の融合にある。開発中止の憂き目を見ながらも、デジーレ氏が権利を買い戻してまで守り抜いたこのIPには、大手パブリッシャーの意向に左右されない作家性が凝縮されている。1999年と1666年を繋ぐシナリオ構造は、かつての現代編を彷彿とさせるが、「猫の視点」といった奇抜な要素の導入は、Panache流の独創的なUXへの挑戦だろう。完成を待った10年は、本作を単なる流行の一作ではなく、唯一無二のヴィンテージへと昇華させたはずだ。
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