[話題] WebneticがPS Storeから撤退へ。1200品目超の粗製乱造ゲーム排除とSIEの断固たる決断

PlayStation Store(PS Store)において、膨大な数のタイトルを配信してきたパブリッシャーWebneticが、2026年6月1日をもって同ストアからの撤退を電撃発表した。この動きは、単なる一企業の事業方針転換ではなく、近年のデジタルストアにおける「粗製乱造ゲーム(Shovelware)」への規制強化が実を結んだ象徴的な出来事と言える。かつては検索画面を埋め尽くしていた低品質なゲーム群が、ついにその居場所を失いつつあるのだ。

パブリッシャー名 Webnetic
発表日 2026年6月1日
推定配信品目数 1,274本(バリエーション含む)
主な配信シリーズ Quizシリーズ(The Pizza Quizなど)
今後の展開 Xbox, Nintendo, Steamでの配信は継続

SIEによる「クリーンなストア」への執念とWebneticの限界

ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、2022年11月のガイドライン改定以降、PS Storeの品質維持に対して極めて厳格な姿勢を貫いてきた。特に、アセットを流用しただけの類似タイトルを大量に展開する行為は、ユーザーの検索性を著しく損なうだけでなく、ストア自体のブランド価値を毀損するものとして、断固たる処置の対象となっている。Webneticの撤退は、こうしたSIEによる包囲網が完成しつつあることを示唆している。

2026年に入り、SIEの取り締まりはさらに加速している。1月には1,000本以上の水増しタイトルを展開していたThiGamesが、3月にはNOSTRA GAMESの全タイトルが削除されるという前例が相次いだ。Webneticは、これら先行して排除されたパブリッシャーを上回る1,274本もの品目を抱えており、同サイトの配信タイトル数ランキングでは世界4位に位置していた。当局のメスが入る前に自ら「店じまい」を選択したという見方が強い。

トロフィーハンターを標的にしたビジネスモデルの崩壊

Webneticが展開していたタイトルの多くは、ゲーム性と呼べるものが皆無に近い「Quiz」シリーズなどだった。例えば、二択のクイズに答えるだけの単純な内容を、題材だけ変えて『The Pig Quiz』『The Pizza Quiz』『The Taco Quiz』として大量にリリースする手法だ。これらは、短時間で「プラチナトロフィー」を獲得したいという一部の層、いわゆるトロフィーハンターの需要に特化した商品であった。

こうしたタイトルは、リージョン別やバージョン別で個別にトロフィーが設定されていることが多く、同じような内容のゲームを複数回購入させることで収益を上げる構造になっていた。しかし、SIEは類似タイトルの重複配信を禁止し、違反を繰り返す開発者にはアカウント停止という極刑を用意している。Webneticにとって、PS Storeはもはや「安易な稼ぎ場」ではなく、リスクの高い戦場へと変貌してしまったのである。

他プラットフォームへの波及とストアの健全化

注目すべきは、WebneticがPS Storeからは撤退する一方で、Xbox、Nintendo Store、そしてSteamでの配信は継続すると明言している点だ。これは各プラットフォームによって、いわゆる「Shovelware」に対する許容度や規制の基準が異なることを浮き彫りにしている。しかし、ユーザー体験を第一に考えるのであれば、検索結果が同一内容の低品質ゲームで埋め尽くされる現状を放置すべきではないだろう。

ゲーマーの視点に立てば、今回のWebneticの撤退は歓迎すべきニュースである。私たちがストアを訪れる際、真に求めているのは独創的なインディーゲームや大作タイトルとの出会いであり、トロフィーを売るための「器」ではないからだ。デジタル流通が主流となった現在、プラットフォーマーには「何を売るか」以上に「何を売らせないか」というキュレーション能力が問われている。

Webnetic撤退が告げる、トロフィー至上主義時代の終焉
今回の撤退劇は、ゲームの本質を無視した「トロフィーの切り売り」ビジネスが限界に達したことを証明している。1200本を超える水増しタイトルでストアの検索性を汚染し続けてきた手法は、もはやSIEの高度な検閲を潜り抜けることはできない。プラットフォームの健全化は、真に価値あるインディーデベロッパーに光を当てるための必須条件であり、今回の動きが他プラットフォームの規約強化を促す呼び水となることを期待したい。

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