アサシン クリード ブラック フラッグ リシンドは、かつて多くのファンを熱狂させた海賊アクションアドベンチャーの金字塔を、最新の技術によって再構築しようとする野心的なリメイク作品だ。2013年に発売されたオリジナル版から13年が経過した現在、開発のユービーアイソフトはグラフィックの刷新だけでなく、戦闘システムやステルス要素に現代的なアレンジを加えることで、新たな傑作を生み出そうとしている。しかし、今回実施された3時間の先行デモプレイでは、進化したビジュアルの裏に、操作性のぎこちなさや数々のバグという、看過できない課題が浮き彫りとなった。アサシン クリード ブラック フラッグ リシンドのオリジナル版が持っていた軽快で洗練されたプレイフィールが、近代化のプロセスのなかでどのように変化したのか、その全貌を解剖する。
▲ 公式カバーアート (提供: IGDB)
| タイトル | アサシン クリード ブラック フラッグ リシンド |
|---|---|
| ジャンル | アクションアドベンチャー / オープンワールド |
| 開発元 | Ubisoft Singapore |
| 対応プラットフォーム | PC / 次世代コンソール |
| 体験版評価スコア | 5.5 / 10 |
現代仕様へと刷新されたステルスと戦闘システム
本作は、オリジナル版の骨格を残しつつも、シリーズの後期作品で培われた数々の現代的なシステムを導入している。これは、アサシン クリード公式サイトでも紹介されているシリーズの設計思想に基づいたものだ。最も分かりやすい変化は、任意の「しゃがみ動作」が追加された点だ。オリジナル版では背の高い草むらに入ったときのみ自動で身を潜めることができたが、本作ではボタン一つで姿勢を低くし、能動的に視線を遮ることが可能となった。さらに、天候や時間帯によるステルス補正が加わり、雨の日は足音が消され、夜間は視認されにくくなるという、リアリティのある隠密行動が楽しめるようになっている。
一方で、戦闘システムの変化は往年のファンにとって議論を呼ぶ仕上がりだ。アサシン クリード ブラック フラッグ リシンドにおける戦闘メカニズムは、敵の防御ゲージをパリィや重攻撃、さらには蹴り技で削り落とし、ゼロになった瞬間に強力なテイクダウンを発動するという設計に変更された。カウンター一発で次々と敵をなぎ倒せたオリジナル版のスピーディな爽快感を愛するプレイヤーにとって、この防御ゲージの導入はテンポを損なうと感じられるかもしれない。また、ボタンの組み合わせによって異なるスキルを発動する複雑なシステムも導入されており、慣れるまでは操作が乱れ、かつての流麗な戦闘とは程遠い、ぎこちない立ち回りを強いられることもあった。
息をのむ美しさと「アサシン クリード ブラック フラッグ リシンド」に求められる洗練性
グラフィックの進化に関しては、13年という歳月の重みを十分に感じさせる素晴らしい仕上がりだ。カリブ海の太陽はより力強く照りつけ、豊かに生い茂る熱帯の木々は青々とし、うねる波の表現は息をのむほど美しい。愛船ジャックドー号が波を切り裂いて進む様子や、活気に満ちたハバナの街並みを眺めているだけでも、この世界に戻ってきた価値があると感じさせてくれる。また、ストーリーテリングの面でも整理が行われており、冒頭の難破後のシーケンスなどではプレイヤーを迷わせないよう、不必要な脇道を排除して物語への没入感を高める工夫が見られる。
しかし、細部の調整においては大雑把な印象を拭えない。例えば、ハバナに到着した直後に発生する盗聴ミッションでは、目的を説明するナレーションが終了した時点で、プレイヤーの立ち位置がターゲットである衛兵の目の前になってしまい、即座に発見されるという不条理な設計が残されていた。このように、ビジュアルがどれほど美麗になろうとも、ゲームとしての細やかな配慮や洗練度が追いついていない場面が散見されるのだ。
▲ 公式アートワーク (提供: IGDB)
不自由なフリーランとプレイ体験を脅かす技術的障壁
アサシン クリードシリーズにおいて最も重要な要素である「フリーラン(パルクール)」の操作性には、強い懸念を抱かざるを得なかった。かつてオリジナル版では、街の屋根から屋根へと流れるように移動する疾走感があったが、本作のデモプレイではジャンプの軌道が不自然に補正されるマグネット効果のような感覚が強く、プレイヤーの直感とキャラクターの挙動が乖離しているように感じられた。意図しない方向への大ジャンプや、壁の前での不自然な硬直など、フリーランが機能しないストレスは旧作よりもむしろ増大している印象さえある。アサシン クリード ブラック フラッグ リシンドにおけるパルクール体験が快適でなければ、海賊としての魅力は半減してしまうだろう。
さらに深刻なのは、今回の体験版で遭遇した技術的な不具合の多さだ。起動直後の最初の1分間にゲームが複数回クラッシュし、別マシンに切り替えても再びクラッシュが発生した。ゲーム内でも、キャラクターの衣服のテクスチャが激しく明滅し、NPCの足のグラフィックが消失して浮遊するなどのバグが頻発した。極めつけは、パルクール中にエドワードが空中をゆっくりと滑空した後に水中に落下したり、マストの昇降機を使用した際にマストの内部に埋まって動けなくなったりと、ゲーム進行を妨げる致命的な問題に何度も直面した。もちろん、これらは開発中のバージョンゆえの仕様であり、発売までに改善される可能性はあるが、名作のリメイクという重責を担う本作において、この完成度の低さは不安を残す結果となった。
アサシン クリード ブラック フラッグ リシンドが証明すべきは、単なる画質の向上ではなく、プレイヤーに支配感を与える操作性の洗練である
グラフィックの美しさは現代の基準を満たしているものの、戦闘とパルクールというゲームの根幹部分が旧作以上のストレスを抱えている現状は看過できない。現代的なシステムを接ぎ木した結果、かつてのエドワード・ケンウェイが持っていた「軽快な海賊」としての魅力が薄れ、操作の複雑さに振り回される「泥酔した水夫」のような体験に陥っている。ユービーアイソフトが真にこの名作を現代に蘇らせたいのであれば、表面的なシステムの追加ではなく、基本アクションの徹底的な磨き上げとデバッグが必要不可欠である。
最終コンパス指数: 5.5 / 10